DX推進って、なぜか「人はいる」のに「決まらない」こと、ありませんか。
会議は増えるのに、前に進まない。稟議は回るのに、結論が出ない。
で、最後に現場が言うんです。「結局、誰が責任取るんでしたっけ?」って。

この“誰も悪くないのに止まる”状態こそ、DXを殺す最大の原因だと思っています。
そしてこれは、民間だけの話ではありません。公共も金融も、同じ構造で詰まりやすいです。
だからこそ、公共・金融の「止まり方」を見れば、民間のDXも解けます。


「調整役」では突破できない

DXは、既存業務の境界線を越えます。
営業のやり方、審査のやり方、稟議のルート、権限の持たせ方。全部に触れます。

つまり、DXは“みんなの仕事の一部”を変えるので、必ず摩擦が出ます。
ここで組織がやりがちなのが、「調整できる人」をDX責任者に置くことです。

でも、調整が得意な人ほど、衝突を避けて“みんなが納得する案”を探し続けます。
そして現実は、みんなが納得するDXなんて、ほぼ存在しません。

必要なのは調整ではなく、決定です。
決める人がいないと、現場の善意と根性だけが削られていきます。
「兼務の担当が夜に泣きながら資料を作る」みたいな事故が起きます。


公共・金融は「止まり方」が教科書になる

公共領域では、調達や手続きの標準化・DXがテーマとして扱われており、「仕組みを変える」難しさが前面に出ます。
参考:総務省資料(PDF) https://www.soumu.go.jp/main_content/000938961.pdf

金融領域では、ITガバナンスが重要論点として整理され、経営の関与と統制の設計が強く意識されます。
参考:金融庁資料(PDF) https://www.fsa.go.jp/news/r3/20220630/it02.pdf

どちらも、現場の頑張りだけで突破できず、「決め方(ガバナンス)」を設計しないと進まない世界です。
さらに公共のセキュリティ文脈では“三層分離からゼロトラストへ”といった移行が話題になっており、「守るために止める」から「守りながら進める」への転換が示唆されています。
参考:https://www.cybereason.co.jp/blog/security/12271/

また、ガバメントクラウド利用システムのセキュリティ対策が整理された資料もあり、「何を満たすべきか」を先に決めて進める考え方が取りやすいです。
参考:https://guide.gcas.cloud.go.jp/general/security-tech

この発想を民間DXに持ち込むと、「現場に丸投げしないDX」が作れます。
(先に“満たすべき要件”と“決裁ルート”を決めてから、現場が実装に集中できる)


今週、役員が“1つだけ”決めること

正直、制度改革を全部いきなりやるのは無理です。
でも、1つだけなら決められます。ここが勝負です。

今週、経営として次のどれか1つを“文章で”決めてください。

  • DXの最終責任者(オーナー)を1名指名し、「優先順位を決める権限」を渡す。
  • 例外承認のルートを作り、「決裁待ちで止まる時間」を短縮する。
  • 部長会の議題に「DXの詰まり(未決)」を固定枠で入れ、未決を“見える化”する。

ポイントは、「担当者が頑張る」ではなく「経営が決める構造を作る」ことです。
DX推進室に必要なのは、根性ではなく“後ろ盾”です。

後ろ盾ができた瞬間、現場はちゃんと動けます。驚くほど軽くなります。


問いかけ

今の組織で、DXが止まる“いちばんの未決”は何ですか?
「人がいない」でしょうか、それとも「決める人がいない」でしょうか。